ユーさんのシネマ談義 第15回 グレートレース PDF プリント メール

ユーさんのシネマ談義⑮ (2009年11月28日)


<1> 映画題名
   「グレートレース」 THE GREAT RACE
    (制作)マーチン・ジャロウ
    (監督)ブレイク・エドワーズ  
    (撮影)ラッセル・ハーマン
    (音楽)ヘンリー・マンシーニ

 

<2> 出演
    1 レスリー(トニー・カーチス)
    2 フェイト教授(ジャック・レモン)
    3 マギー・デュボア(ナタリー・ウッド)
    4 マックス(ピーター・フォーク)
    5 ヘゼガイア(キーナン・ウィン)

 

<3> あら筋
冒険家レスリーは気球に逆さ吊りされて空中へ舞い上がるショーを実演していました。レスリーの好敵手フェイト教授は助手のマックスと気球に鉄弓を放ち風穴を開けました。気球は落下します。あわや一巻の終わりと思われた瞬間レスリーは見事にパラシュートで脱出、フェイト教授の企みは失敗に終わるのでした。

その後も2人の競い合いは続きます。飛行機によるフェイト教授の空中ブランコ、モーターボートやロケットによるスピード記録挑戦等々。

 

そして新聞社主催のニューヨーク・パリ間の自動車レースが開催されることになりました。レスリーはヘゼカイアとウェーバー社製のレスリー・スペシャル号で参加、フェイト教授はマックスとハンニバル号で挑戦します。これに新聞社の女性記者デュボアも加わり、計6台の自動車によるレースが戦いの火蓋を切りました。

しかし、マックスの細工により4台の車は次々に落伍、結局レスリーと教授の車2台による一騎打ちとなるのです。デュボアはレスリーの車に便乗して取材を続けました。レースはアラスカに入り、2台の車は流氷の上で四苦八苦します。そしてシベリアに到着、ここではロシア語に堪能なデュボアの活躍で市民から大歓迎を受けました。

 

次に到着したのがヨーロッパの小国。何とこの王国の皇太子はフェイト教授と瓜二つ。そのため教授たちは王位争奪の騒動に巻き込まれてしまいます。

何とかこの王国から抜け出した2台は遂にゴール地であるパリに入りました。目指すはエッフェル塔です。教授の車は最後に道を間違え、レスリーが僅かに早くテープを切るかに見えました。しかし、ゴール直前レスリーとデュボアは激しい論争を始め、車は急停車してしまいます…。

 

 

<4> 感想
1966年公開当時この映画を観たとき何という面白さの連続かと感激しました。CGもVFXも無かった当時の映像技術の水準は現在と比べようも無く素朴なものですが、悪知恵の限りを尽くしてレスリーに対抗するフェイト教授と助手マックスの滑稽さはどこか憎めずユーモアに満ちていました。


この「グレートレース」はチャップリンの「ドタバタ喜劇」の現代版みたいなものですが、私は奇想天外なアイディアが随所に溢れている見所の多い映画だと感じました。以下にこの作品の見所、聴き所をまとめて見ます。

 

 

*主役のトニー・カーチス(冒険家レスリー)よりもう一人の主役であるジャック・レモンの方が存在感があり、目立っていたように思えます。また、フェイト教授の助手マックスを演じたピーター・フォークのおとぼけ振りが実に楽しいものでした。何気ないアドリブ的な仕草のひとつひとつが笑いを誘います。教授の指示に従い懸命に実行していくマックス、もしピーター・フォークという俳優がいなかったらこの作品はラブストーリーを絡ませた好敵手同士の自動車競走劇に終わったかも知れません。

ピーター・フォークはこの作品(1965年)の後1968年から2003年まで全米でTV放映された「刑事コロンボ」の主役として大スターの道を駆け上がっていきますが、それを予感させるものが「グレートレース」の中に十分現れていると思います。


*「ウエストサイド物語」の主演女優ナタリー・ウッドが新聞社の女性記者を好演しています。男性4人の中に入って小気味良い味を出していたと思います。改めて見直すとナタリーの演技力(気の強さは本来彼女の持っていたキャラクターなのかも知れませんが)は中々のものでした。ナタリーは1981年映画撮影中にボートから転落して水死しました。43歳でした。ハリウッドは惜しい女優を失ったことになります。

 

*今回の作品の音楽は「ひまわり」「シャレード」「ピンクパンサー」などを手がけたヘンリー・マンシーニが担当しています。

数々のアカデミー賞を受賞したマンシーニですが、この「グレートレース」がきっかけだったのでしょうか、ピーター・フォークの代表作「刑事コロンボ」のテーマ曲も担当しているのです。

 

*この作品の中では、映画史上最大といわれる「パイの投げ合い」が繰り広げられます。ケーキ工場で皇太子の戴冠式祝宴のためパイが大量に作られていましたが、そこに闖入したレスリーやフェイト教授達、沢山のパイを投げつけられ、パイまみれになります。一体どのくらいのパイが使用されたのでしょうか?当時高校生だった私は「パイ」を食べたこともなく、ただ勿体無い、いつか食べてみたいと思っていました。

 
< 前へ   次へ >